自筆証書遺言書保管制度について
- 2025年3月10日
- 読了時間: 6分
更新日:1月6日
「遺言書を自分で書いたけれど、どこにしまっておこう?」 「家族が見つけてくれるか心配。でも、書き換えられたりしたら困る……」
やらなくてはいけないのはわかっていても、わからないことが多くなかなか実行できないとお悩みではありませんか?確かに自筆の遺言は確実である反面、改ざんや紛失などのデメリットもあります。
このページでは、タイトルにある通り令和2年7月10日より始まった「自筆証書遺言書保管制度」のご紹介をいたします。こちらの制度は、法務局で自筆遺言書を法務局で安価に安全に預かってくれる制度です。
今回は、「自筆証書遺言書保管制度」を利用する際の流れを、5つのステップで分かりやすくお伝えします。
福岡市で手続きする「5ステップ」
ステップ1:遺言書を作成する
法務局に預けるためには、用紙のサイズや余白に厳格なルールがあります。
用紙: A4サイズ
余白: 上5mm、下10mm、左20mm、右5mm以上の余白が必要
注意: ホッチキス留めは厳禁です!
遺言書の様式などについての注意事項は、下記法務省のリンクをご確認ください。(2026/01/06)
https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html
ステップ2:法務局へ「予約」を入れる
福岡市の場合、手続きの窓口は「福岡法務局(本局)」になります。 この制度は完全予約制です。いきなり行っても受け付けてもらえないので注意してください。
予約枠は、1日4枠と非常に少ないです。ただ、1枠1時間半となっており、相談するには十分な時間です。
電話: 092-721-9186
窓口: 福岡法務局 本局(供託課・遺言書保管官)
住所: 福岡市中央区赤坂1丁目14番10号
法務局本局以外は、こちらのリンクからご予約ください。
ステップ3:必要書類を揃える
予約日までに、以下のものを準備します。
遺言書本体(封筒に入れない状態で持参)
申請書
申請書はこちらのサイトからダウンロード可能です。 https://www.moj.go.jp/MINJI/06.html
住民票の写し(原本)(本籍地の記載がありマイナンバーの記載がないもの、3ヶ月以内のもの)
本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など、顔写真付きのもの)
手数料:3,900円(収入印紙で納めます。法務局内で購入可能です)
ステップ4:法務局へ行く
必ず「遺言者本人」が窓口に行く必要があります。 代理人は認められません。 本人が行けない場合は、本制度は使用できず、自分自身で遺言書を保管するか、公正証書遺言から選択する必要があります。
福岡市法務局は、車椅子でも移動しやすいバリアフリーとなっています。本人以外の家族が同行しても受付は可能ですので、歩けない方なども外出できる方は計画をたててみましょう。
窓口では、職員さんが形式的な不備がないかチェックしてくれます(※内容の相談には乗ってもらえないので注意してくださいね)。
ステップ5:保管証を受け取る
手続きが無事に終わると、「保管証」が発行されます。 これには「保管番号」が記載されており、将来ご家族が遺言書を確認する際に役立ちます。大切に保管しつつ、信頼できるご家族には「法務局に預けてあるよ」と伝えておきましょう。
通知:関係遺言書保管通知について
遺言者が希望する場合、遺言者の死亡の事実を確認した場合に、あらかじめ遺言者が指定した方(3名まで指定可)に対して、遺言書が保管されている旨をお知らせする制度(指定者通知)があります。遺言書を書いたことを誰にも通知しない場合でも、死亡届が出された後に、指定の方に通知がいくようになっています。配偶者の方しか知らない場合など、先に配偶者の方が亡くなると遺言書の存在自体が知られない恐れもありますが、こちらの設定を行うことで安心です。
余談ですが、私は父が亡くなった後にこちらの通知が私宛に届いた時、父からのお手紙を受け取ったような気持ちになりました。
まとめ:法務局は、あなたの想いを守る場所
「遺言書を書く」というのは、自分のためだけではなく、残されるご家族への一番の思いやりです。 福岡市にお住まいなら、利便性の高い赤坂の法務局を活用しない手はありません。
もし「書き方が不安だな……」と思ったら、まずは法務局のホームページで様式をダウンロードするところから始めてみてください。
なぜ「公正証書」ではなく「法務局」をおすすめするのか
遺言書にはいくつか種類がありますが、法務局に預けるこの制度には、「3つの安心」があります。
紛失・改ざんの心配ゼロ:国の機関(法務局)が原本を保管します。
検認の手続きが不要:亡くなった後、裁判所での面倒な手続きをスキップできます。(自宅などで保管する場合は、検認の手続きが必要になります。)。
リーズナブル:1回の手続きで3,900円となっています。公正証書遺言は財産価格により変動しますが一般的に数万円かかります。お客様からよく伺う話としては、ご本人様や相続人様の状況でお気持ちが変わることがよくあるとのことですが、書き換えをしたくとも、都度大きな費用がかかると気軽にできませんよね。そのようなことを考えるとこの制度は、今の時代に非常によく合っているのではないかと思います。
なぜ弊社のような不動産会社がこのような提案をするかというと、相続資産によって絶縁状態になるほどの喧嘩をいくつかみてきたからです。通常不動産会社が遺言書の中身に言及することはまずありませんが、弊社は相続を専門としていますので、おせっかいではありますがご提案させていただいています。遺言書作成の書き方の相談などは士業の方をご紹介可能です。ただ、相続の配分を考える時、現金や有価証券は額面をみれば分けやすいのですが、不動産の場合は評価額ではその不動産の価値が計れませんので、不動産についてはアドバイスさせていただいております。 例えば、同じ相続評価額でも、地目が「田」か「宅地」かで実勢価格は大きく異なります。また、地目が同じ「田」でも「市街化区域」か「市街化調整区域」かでも変わってきます。地目が同じ「宅地」で広さが100坪であっても、用途地域が「商業地域」か「第一種低層地域」かでも大きく異なります。
さらに例えると、市街化区域の宅地、商業地域、駅近の30坪と、市街化調整区域の田500坪だと、状況によっては前者を相続する方の方が、実質的な資産価値は上になるかもしれません。そこに建物があるかないか、前面道路の幅員などでも、不動産の実勢価格は変わってきます。 簡単な例をあげましたが、これを聞いただけで、残された方々に起こるトラブルや動揺が予想できると思います。専門家から見ても判断が分かれる不動産を一般の方が、なんとなく均等に分けるということはまちがいなく不可能です。
相続資産に不動産がある方は、お元気なうちにぜひ、自筆証書遺言書保管制度をご検討ください。
令和8年1月6日 確認 亀井 理恵
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